【レポート】オープンスタジオ/OPEN STUDIO 2025ラスト編 vol.6
今年最後のオープンスタジオだったこともあり大盛況の一日でした。予想以上の盛況ぶりにスタッフもアワアワしましたが、常連の市民の皆さんが各プログラムの準備を手伝ってくれたおかげで素晴らしいイベントにすることができました!!ありがとうございます!!
滞在するアーティストが普段どういうことを考え、どんなことをしているのかを知れると同時に、今回は参加者の皆様の声もたくさん集まりました。
アーティストと市民、双方向につながる交流の地点となった1日!! ご覧あれ!!
⓪アート&ブレックファストデイ
今回お話ししてくださったのは、アーティストの宙宙さんです。

宙宙さんが北海道へ移住したのは2年前。
さっぽろ天神山アートスタジオに滞在し、北海道の地質や自然をリサーチするために訪れた際、この土地の自然に強く心を惹かれ、移住を決めたそうです。
“自然”から大きな影響を受けながら作品を制作している宙宙さんですが、その原点は学生時代に過ごしたアイスランドでの生活にあります。プレート境界に位置するアイスランドでは、まさに「地球が生きている」ことを日々実感したとのこと。
また、宙宙さんは最近、定期的に拠点を移すノマド的な生活を送っており、現在は北海道の火山前線上での暮らしを求め、弟子屈町を拠点に活動しています。
今回の交流では、これまでの展覧会についても紹介していただきました。現場にある素材をそのまま活用するなど、即興性の高い手法で制作する宙宙さんにとって、「自然の情報をどれだけ自分の意識下に蓄えておけるか」がとても重要だそうです。
今回の滞在では、石狩・旭川・苫小牧などでリサーチを実施。
12/2まで展覧会開催中です!!
【11/29-12/2】Exhibition_宙宙/ChuChu_滞在制作活動成果展
①舞踏パフォーマンス 明夜&ユリア・キリヤノヴァ
札幌を拠点に舞踏を中心に活動を行う明夜さんとオランダを拠点に絵画・タフティング・身体表現を行うユリアさんが同時期に滞在し、交流を深める中で実現するに至ったこのコラボレーションのパフォーマンス。ギャラリー犬養での明夜さんとMADZINEさんのヨーロッパ公演の報告展覧会にて、パフォーマンスの音楽を手掛けたTRANSFLUXIONさんを迎えました。
13時に始まる予定でしたが、準備にやや時間がかかってしまいスタートが遅れるととともに、期待感も膨らんでいきます。
30分が過ぎたころ、明夜さん登場。ユリアさんが手掛けたボディペインティングを纏った姿は普段の白塗り白装束の姿から一変、ショッキングな姿に場は一気に緊張感が高まります。

ユリアさんの大きな作品の前で、明夜さんの身体表現が行われます。
舞踏は踊る者の命を曝け出す行為であり、個人の「素」をさらけ出すという点で、他者の作品とコラボレーションすることには、どうしてもある種の難しさが伴うように感じていました。
しかし実際に目の前で展開されたのは、その難しさを抱えたまま成立する“緊張”でした。ユリアさんの作品と明夜さんの踊りが衝突することで生まれる張り詰めた状況こそ、このパフォーマンスの中心だったように思います。そこには、共鳴とも調和とも異なる、まったく新しい形のコラボレーションを感じました。
終了後、TRANSFLUXIONさんに、音響の態度について質問してみました。
「明夜さんとユリアさんが表現する状況に、ただ返答するだけでは面白味に欠ける。」
その姿勢が、今回の空間に独自の複雑さを与えていたのだと気づかされます。
明夜さん、ユリアさん、そしてTRANSFLUXIONさん――三者が互いの領域を侵犯し合いながら立ち上げた、不思議で刺激的なコラボレーションでした。
②「制作について」トーク by 杜品儀(トゥー・ピン・イー)

9月から滞在するピンさん、今回の滞在では札幌の地上世界と地下世界の関係性からきのこが地下ネットワークでつながっている関係性を連想し、映像の作品を制作しました。
トークでは過去の作品について紹介していただきました。
大学時代に取り組んだプロジェクトから現在までの作賓を抜粋して、制作のプロセスをみせてくれました。写真、スナップから大型のインスタレーションに展開するプロジェクトです。天神山では映像1点をメインにした小規模な展示をおこなったため、次は大きな作品がつくりたくなった、と意欲を語りました。
トークの中で印象的だったのは、「いかにもアートな写真じゃなく、高校生のときに家族で山に旅行したときのスナップ写真の方がいい(笑)」「昔のものにいいものがある」といっていたことです。普段の風景、日常に作品の種になるものがあるという気づきを得たということなのかな、と思います。
③ワークショップ 『写真に刺繍をしてみる』 桑迫 伽奈 / Kuwasako, Kana
札幌を拠点に写真を中心とした活動を行う桑迫さんが、ワークショップを行いました。

ワークショップでは、動きのある写真に糸を縫っていきます。
みなさん写真をよく観察し、それぞれの色を選びます。この時間が楽しい!!
たまたま、居合わせた中学生たちも興味津々!!参加して、自分の作品を作り上げていました!
写真をよく観察し、写真の一部に自分がひと手間を加えることによって、写真の見方が大きく変わります。作品との向き合い方が変わるとても有意義なワークショップでした。

桑迫さんは今年度、AISプランニングの「アーティストの創作活動を支援するためのチームビルディング事業」の採択アーティストとして活動を進めています。
今後の活動もチェックしてみてください!!
AISプランニングのHP:https://ais-p.jp/
④ワークショップ『1000のことり』
2024年8月からこつこつと進められている『1000のことり』プロジェクト。平和のシンボルである千羽鶴を布によって作り上げるとともに、参加者全員の鶴が一つの大きな布に掲げられるという「つながり」を生み出します。

これまで作られたのは約450羽!!一つ一つデザインの異なる鶴が綺麗に並んでいる姿は圧巻!!
みなさんと和気あいあいと話しながら、縫い作業を進める時間に、鶴を通じてお互いの想いや日々のことを共有できるあたたかさを感じるとともに、これまでの参加者や未来の参加者と鶴を介して繋がっていくことに思いを馳せる、そんな素敵な時間となりました。
約20組の方が参加してくれて、1000羽までまもなく折り返し地点!!
④明夜 「seed」
舞踏ダンサーとして舞台美術も行う明夜さんが滞在中に制作した舞踏絵を展示しました。
先日行われた、ヨーロッパ公演報告展覧会では、ヨーロッパの路上で拾った物を利用したりなど、工夫に凝った演出でしたが、今回も天神山にある資材をうまく利用して明夜さん独自の世界観を見せていただきました!!
今後の活動にも目が離せません!!

⑤ 感想を語り合う場「ミニ・アートカフェ天神山アートスタジオ OPEN STUDIOどうだった?」 by 成田真由美

成田真由美さんが札幌市内で定期的に開催している「アート・カフェ⁺」、文化芸術にまつわるテーマを定め、ゆるーくお話しする会!
今回は「OPEN STUDIOどうだった?」をテーマに、みなさんとゆるーく感想を共有し合いました。展覧会やパフォーマンスの感想はもちろん、施設の特徴や近所の子どもたちの様子など、さまざまな声を聞くことができました。

成田さんのnote:https://note.com/narita_mayumi