【レポート】『天神山、また、まちにいく。』in SCARTSスタジオ が開催されました!!
ゴゴ…ゴゴゴゴゴゴゴ…
今年も深雪を携え、さっぽろ天神山アートスタジオがSCARTSへと降りたちました。
今回は、「北海道を拠点とするアーティストの海外での滞在制作の報告会」と「北海道外のアーティストの札幌での滞在制作の進捗報告」の2部構成でトークを行いました。
■札幌のアーティストがみた世界
①クスミエリカ Erika Kusumi
まずは、2024年に台湾のギャラリーAbsolute Space for the Artsの企画にて滞在制作を行ったクスミさん!!日々の記録をnoteで記していたそうで、そのマメさにいきなり驚愕です。
※クスミさんのnoteはこちら→https://note.com/erikakusumi
※Absolute Space for the ArtsのHPはこちら→https://absoluteartspace.wixsite.com/absolute-art-space
Absolute Space for the Artsは1階にギャラリー、2階に滞在スペース、3階にスタジオがあり、一人で滞在されたそうですがその大きさゆえに、若干持て余したそうです。
夏の台湾を自転車で駆け巡ったそうですが、さすがは写真家でもあるクスミさん、街の景観へのセンサーと一級品のカメラ技術によって撮られる写真はどれも本当にかっこいい!!
滞在制作の間にワークショップを一度開催したそうです。クスミさんが普段何を意識して写真を撮っているかなど基本的な写真の撮り方講座を行い、その後参加者と共に街を巡り、写真を撮るというワークショップだったそう…札幌でもやってほしい…。
滞在制作では、台南で撮った写真をコラージュによって再構成する作品を製作。
なんと、現在その一部が札幌で見れます!!
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クスミエリカ近作展「非日常の窓」
https://cross-sapporo.orixhotelsandresorts.com/wcrspop/event/9984/
会期|2025年1月31日(金)~5月29日(木)
会場|クロスホテル札幌
住所|札幌市中央区北2条西2丁目23番地 TEL 011-272-0010
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ぜひ足をお運びください~
②千葉 麻十佳 Madoka Chiba × 小林大賀 Taiga Kobayashi
千葉さんはネパールのカトマンズにあるSpace Aに1ヶ月滞在し、「地球でもっとも宇宙に近い場所」をテーマにリサーチ・制作、小林さんは2023年『ほっかいどう未来チャレンジ基金』の助成のもとメキシコへ滞在し、長編ドキュメンタリー「巡礼の季節 ーヒクリ、8000と20年」の制作を行いました。
二人は滞在前から共通して、歴史の中心地とされている欧米をあえて避けることで、歴史や文化を柔軟に捉えることができるのでは、と考えていたそうです。
千葉さんは標高が最も高い場所を「地球で最も宇宙に近い場所」と捉え、エベレストについてリサーチを行いました。
高山病になり、なかなか動きが取れない時期もあったそうです。
いくつかの動画や写真も紹介してくれました。山々に囲まれたネパールの景観は壮大で神秘的なものでした。ジェット内から撮影した動画にはひやひやさせられましたが…。
リサーチの段階で多くの苦難を強いられましたが、その過程で地中にあったプレートが時間をかけてエベレストとなった経緯から地中・地球・宇宙の関係性に関心が出てきたそうです。
今後の千葉さんの活動に注目です!!
※千葉さんのHP→ http://chiba-madoka.net/
小林さんはメキシコにて11か月という長期間の滞在を行いました。
治安の面でやはり日本と大きな違いがあったそうで、スリリングな話に汗がにじんでしまいます。
小林さんも千葉さんと同様、リサーチには苦労されたようで、やりたいことはもっとあったのに、と悔やまれてました。
壁画運動の歴史、文化とドラッグなど多岐にわたるリサーチの成果はとても気になりました。
今後も小林さんの滞在制作の報告会は開かれるかと思います!! 情報を要チェック!!
※小林さんのHP→ https://www.taigakobayashi.com/biography-1
■札幌でアーティストはなにをする?「国際公募AIRプログラム招聘アーティストによるアーティスト・トーク
①冬木遼太郎 Ryotaro Fuyuki
冬木さんは、「移動」をテーマにリサーチを進めています。北海道内の美術館・博物館に限らず、道東の馬牧場や蹄鉄師の方など、「移動」に紐づけられる多くの分野についてリサーチを進めています。
その中で、雪が積もることによる抽象化の作用に注目しているようです。雪が物を覆うことで輪郭はぼやけ、元々あった記号的意味すらも曖昧にします。
そして、馬から車への交通手段への変化はある種の抽象化である捉えているそうです。たしかに、性格や体格に個体差のある馬から車への変化は効率性を重視した抽象化(画一化)と言えそうですよね。
今後、冬木さんの活動が作品へとどう昇華していくか、楽しみで仕方ありません!!
※冬木さんのHP→ https://ryotarofuyuki.tumblr.com/
②ギャノン・マーフィー Gannon Murphy
アメリカ、コロラド州の札幌と同じように寒く雪深い地域からやってきたギャノンさん。
本人は、自身のことを「版画家」と言っていますが、制作活動は多様な技術をつかいながらカラフルな内容になっています。BLEACHという名義で服をつくったりもしているなかなか多彩なアーティストです。トークでは、過去のプロジェクトをいくつか紹介してくれましたが、中でも、ジャズミュージシャンに規制がかかった時代に、面白く反抗して活動してたジャズマンを取り上げた作品もあり、ギャノンさんの静かな反骨精神を感じさせる一幕もありました。
レジデンス期間を使って、アパレル分野とのコラボレーションを画策していたギャノンさん、なんとあのSouth2 West8 Sapporo店さんが協力してくださることが決まりました。
着々と本の制作と撮影を進めているそうです。これまで制作した本は多くの素材や技法を用いたもので、個性的なものです。
どんな本ができるのか!!?次なる情報をこうご期待!!
※ギャノンさんのHP→ https://www.upbleachstreet.com/portfolio
※South2 West8のHP→ https://south2west8.com/
この週末は、まちなかでさまざまなイベントが開催れていたためか、多くの人が会場に集ってくれました。のべで38名!
天神山アートスタジオで、このスカーツでのイベントを知り、わざわざ会場まで足を運んでくれたご近所の方もいらっしゃいました!「アーティストからいろいろな国での体験を聞けたのは面白かった」と感想をいってくださり、後日、天神山アートスタジオにもまた顔をだしてくれて、「次のアーティスト・トークはいるやるんですか?そういう情報をどうしたら入手できるの?」と、アーティストの活動に興味を感じてくれたファンを獲得しました!!
小堀