懐かしいサクサク
開館まもない早朝、思いがけず素敵な差し入れをいただきました。
懐かしいバター味に、何度食べてもほっとするこちらの甘味……
「いつもありがとうございます」とにっこり差し入れてくださったのは、お散歩の休憩のためによく当館に立ち寄っていかれる方でした。
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さっぽろ天神山アートスタジオは、天神山緑地内の休憩所として地元市民に親しまれています。毎朝フラッと来館するけれどここが「アーティスト・イン・レジデンス(以下、AIR)」の施設だとは知らなかった、そもそもAIR自体を意識したことがなかった、という話すらときおり聞きます。
当館1階の大部分は誰でも無料で過ごすことができるので、上述のように散歩や運動の休憩で立ち寄る人や、勉強や仕事をする人、極寒の屋外卓球に興じる人たち、広い卓上でカードゲームバトルを繰り広げる人たちもみられます。季節の模様替えなどでスタッフが公共スペースを荒らしていると、カードゲームの手を(たぶん、仕方がないので)とめて、わらわらと片付けに加勢してくれることも。滞在スタジオのアーティストや研究者たち同様、1階の皆さんも、思い思いの過ごし方をする…。これが当館の日常といえます。
そんな一般来館者の皆さんとのやりとりは、天神山アートスタジオにとって滞在アーティストのサポートと同じく大切です。会話から、新たな館内イベントが考案されることもあります。たとえば今年7月は、毎朝お散歩にやってくる伊藤さんがプロのジャズ・ウッドベース奏者だったことが判明。1階談話交流室での本格ジャズライブや、天神山文化祭でのオープニング演奏が実現しました。なにより嬉しいのは、今でも毎日伊藤さんと顔をあわせて挨拶ができることです。
1階でコミュニケーションを重ねることはや8年。久方ぶりに再訪したという大学生や、アートキャンプの過去参加者が事務所へ挨拶に来てくれたり(スタッフの名前まで覚えていてくれて感激……)、館内に散在する奇妙なアイテムに「あのときの、なつかしい!」という声が聞かれることも増えました。昔からのご近所さんにも新しいご近所さんにとっても、天神山アートスタジオがなんだかちょっと懐かしいにおいのする、居心地のいい場所になっているといいな、と毎日飽きずに思っています。
(スタッフ 五十嵐)