招聘アーティスト決定!みせたこともなく、みたこともないAIR

ActivityArtistEventNews 2020年12月8日

 

 

 

 

 

さっぽろ天神山アートスタジオを拠点に、SAPPORO Borderless Live Arts CARABAN事業(SBLAC:エスブラ)のひとつとして実施される、札幌・北海道にゆかりのあるアーティストを対象にした公募に際し、熱意ある応募をくださったことに心から感謝しています。公募情報の拡散を助け、協力くださったみなさん、どうもありがとうございました。

13人/組の応募の中から、以下2名のアーティストの招聘を12/7に決定しました。今回の選考ではすべてのアーティストを招聘することはできませんが、ひとつひとつの応募アーティストとそのプロジェクトに関して、別の形でサポートできることはないか探りたいですし、エールを送りたいです!応募されたアーティストにご希望がありましたら、後日、さっぽろ天神山アートスタジオにて個別にミーティングや懇談などできればうれしいです。応募くださった方々には、本日より10日までの間で、個別にEメールにて連絡申し上げます。

選考に関する簡易リポートは末尾にあります。招聘が決定したアーティストとは年内にミーティングを実施し、プログラム中に行う活動・プロジェクトについての内容・方向性を固めていきます。その段階で、またここでプロジェクト概要など紹介する予定です。

AIRプログラム内容(応募要項)

<招聘決定アーティスト>

*名前をクリックするとアーティストのwebサイトにリンクされます。

*「モチベーション」「活動プラン」は応募時(2020.10-11月)に作成されたものです。

岡 碧幸

■プログラム参加へのモチベーション
私は札幌で生まれ育ち、大学で農学を学んだ後、ロンドンの大学院で情報体験デザインを学び、現在は研究ベースのアーティストとして活動しています。作品の中心的な関心は、人と都市と環境です。ロンドンで制作を行う中で、この関心が、札幌の地理的・歴史的条件下で育まれてきたことを強く意識するようになりました。このレジデンスプログラムでは、札幌の地で、札幌の内外で得た人と都市と環境への視点を元に、研究と制作を行っていきたいです。これまであまり札幌で作品を制作し、発表する機会がなかったので、この機会を、これからの国内外での作家活動のために活用していきます。また、科学と芸術、日本とヨーロッパなど、経験の中で得てきた横断的な知見・観点を、市民の方々と共有し、お互いに新しい発見ができるような交流をしたいです。他のアーティストやリサーチャーの方々とつながりを持つための重要な機会として、プログラムに積極的に参加します。

■活動の計画概要/作品・プロジェクトプラン
このプロジェクトは「情報の物質性/インターネットの物理性」をテーマにしています。現在私が携わっている環境科学研究を事例としながら、現象をデータとして取得し、伝達し、保存し、私たちがパソコン上で操作できるようになるまでの過程を詳細にリサーチします。その過程を、比喩的・詩的に表現し、作品を作ります。このプロジェクトは、インターネット中心の社会や生活における、私たちと物質的な世界との関係性と親密感を再考することを目的としています。
具体的には、ひらがらなの「あ」という文字を、空間に存在する物体からパソコン上のデジタルデータへと、光や振動、電気など、さまざまな媒体とスケールで表現・伝達・変換していく作品を作ります。このインスタレーションの媒体と表現方法の選択には、リサーチの結果を反映します。また、事例全体のストーリーを伝えるための短い動画も作成し展示する予定です。

 

真砂 雅喜

■プログラム参加へのモチベーション
 私がこの機会に行いたい活動は、アーティストが対話やコミュニティへの参加、協働を行う「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」の亜種として、作家と他者による対話と密約に基づいた「パーソナリー・エンゲイジド・アート」という作品形態の提案と挑戦です。
 前提として社会背景や問題を大きな括りとせず、特定の運動コミュニティなどに紐づいていない一方で地域に確実に存在する「個人」に焦点を当てます。その他者の現在の思想や生活に至る要因となった「何故ならば私は~」を主軸に、社会的意義や目的に回収しきれない個の存在の重みについて研究するものです。
 これは私の過去のアプローチとは異なる(しかし長年構想していた)新たな実践です。このパブリックに開かれた機会を通じてこの都市に存在する人々に焦点を当てるプロジェクトを、自身が生まれ育った札幌で始めることができるのならば、それはこの上ない喜びとなることと確信しています。

■活動の計画概要/作品・プロジェクトプラン
 まずリサーチ段階として特定のコミュニティに紐づけない個人に焦点を絞り実際の対面やオンラインインタビュー(対話と密約)を行う予定です。その中で私とその方々の現在の思想や生活に至る要因となった「何故ならば私は~」を主軸に相互にカミングアウトし合える関係性を探ります。
 次に作品制作段階として、インタビュイーと協議して一枚の大判プラカードを制作します。それは何らかの主張ではなくアイデンティティに関わるものとなる予定です。またインタビュイーがそのプラカードを持ち、顔や上半身を隠した写真の被写体となってもらいます。撮影場所についてはスタジオ内、またはインタビュイーの現在に至るプライドを象徴する場所で行うことを想定しています。そのドキュメントを基軸としつつリサーチを経ての気付きや視点を別途作品に生成し、流動的な都市を形作る個々の存在を通じて表現の実際性について研究する計画です。(詳細は別添資料参照)

 

本選考においては、①アーティストのこれまでの活動内容とプログラム中の活動提案内容、②AIR機会を活かしきることができるかどうか、アーティストの「新しい」展開・局面に結びつく可能性があるかどうか、③AIRに参加するタイミングとして今回が適当かどうか、④さっぽろ天神山アートスタジオとして②・③をサポートすることができるかどうか、という主に4つの観点で検討を重ねました。一次審査を経て、2020年度アーティスト選考のオブザーバーである島袋道浩さんとディスカッションを行い、上記の結果へとたどり着きました。

岡 碧幸さんは、札幌のアートシーンにとって全く新鮮なニューフェースであること、自身の研究をバックグラウンドにした、プログラム期間中における「プロダクションへの転換」を試みようとしていることなどプログラムを使って取り組む活動が明快であり、冬季の同時期に開催されている他のアーティストとの交流機会を自身のプロダクションへの転換作業に生かすことができるのではないか、また、今回のAIR参加でポジティブな札幌のアートコミュニティとの接続が可能になるかもしれないという、我々にとってもモチベーションの高まる存在でした。一方、真砂さんは20年以上のキャリアを重ねるアーティストで、力量はすでに評価されてきていますが、これまでになく、まさに次のステップへと向かうべく第三者との共同制作を体験しようというチャレンジを提案してくれたことで、AIRが貢献できるのではなか、と希望を抱くことができました。イマージングなアーティストでも、中堅キャリアのアーティストでもAIRをチャンスに変えることができるのだと、このお二人であれば証明してくれるのではないかと期待することができました。(さっぽろ天神山アートスタジオ AIRディレクター 小田井 真美)

1月からのプログラムのプロセスは、SNSなどで随時公開していきます。

どうぞお楽しみに!